高齢者や子どもが交通事故で死亡してしまった場合、死亡慰謝料はどの程度になるのでしょう。
まだ幼い子どもであれば、収入があるわけではないので慰謝料も下がってしまうのか?
また、高齢者の場合は、すでに収入がないので慰謝料も下がってしまうのではないか?
亡くなった時点にあった収入が死亡して無くなるわけではないため、こうした疑問は付き物。
また、同じ1つの命が亡くなっているのにとも感じますが、死亡時の収入や年齢などによって慰謝料相場に差が出てくるのが現実です。
そこで今回は、高齢者や子どもの死亡事故とその慰謝料相場について詳しくご説明していきます。
死亡慰謝料に相場はあるのか?
では、死亡慰謝料にそもそも相場といったものはあるのでしょうか?
結論からいえば、死亡慰謝料の相場はあります。
厳密にいえば、相場というよりは基準があるといったところです。
たとえば、一般に裁判所基準や弁護士基準と言われる赤い本や青い本では、2000~3000万円程度で示されています。
そして、この基準は、「一家の支柱」、「母親・配偶者」、「その他」という3つに分類された上で示されています。
一家の支柱とは、一般的には父親のことを指しますが、その家計の経済的な面を支えている方、という認識が正しいです。
場合によっては、母親が一家の支柱になるケースも当然あります。
次に配偶者とは、夫婦の相手をさす言葉ですが、ここでは子がいない主婦や、一家の支柱ではない父(主夫)を指すことが多いです。
そして、その他というのが、独身の男女や子ども、高齢者などを指しています。
なお、上記の金額は裁判所基準(赤い本・青い本)ですが、死亡慰謝料の基準はその他にも、保険会社基準と自賠責保険基準とがあります、以下の表でおおよその金額をまとめてみたのでご参考ください。
赤い本 | 青い本 | 保険会社※1 | 自賠責保険※2 | |
---|---|---|---|---|
一家の支柱 | 2800万円 | 2900万円 | 2000万円 | 350万円 |
配偶者 | 2500万円 | 2600万円 | 1600万円 | 350万円 |
その他 | 2200万円 | 2200万円 | 1500万円 | 350万円 |
※1個々の保険会社によって金額に差が大きいこともあるためあくまで目安。また、保険会社によっては、18歳未満の無職者や高齢者といった括りになっていることもある。
※2自賠責保険(※)は、本人1人分の死亡慰謝料は400万円で固定。ただし、請求権者(遺族のこと)の人数によって、本人分に金額が加算されていく。例:請求権者2人の場合650万を加算し、扶養者が1人いた場合200万円を加算(400+650+200=1250万円)
※自賠責保険の支払基準が改正され、令和2年4月1日以降に発生した死亡事故については、新基準が適用されます。令和2年4月1日以前に発生した死亡事故については、死亡した本人の慰謝料は350万円です。
死亡事故では年齢も考慮されるが…
上記の基準だけを見ていると、あまり年齢は考慮されていないように見えます。
一家の支柱が50代である場合があれば、20代である場合だって当然あります。
また、平均余命を検討した場合、先が長い幼児とそれより短い高齢者とでは、慰謝料に違いがあるべきと考えるのは普通です。
そこで、過去の裁判例などを調べてみたのですが、年齢によってそれほど大きく金額に差がついているようには見えませんでした。
もちろん、年齢がまったく考慮されていないわけではありませんが、平均余命によってそれほど大きな金額差はないと言えるでしょう。
とはいえ、先が長い若年者に場合は、基準よりも数百万円多く認定した例もあることから、死亡事故における年齢は、1つの判断材料にはなるものの、決定的な要因になるわけではないということです。
命の値段と勘違いしないこと
上記の基準を見ていると、死亡慰謝料は単に一家の支柱であるかなど、そういった身分関係だけで金額が分けられています。
ということは、収入などを加味した社会的身分など、その人物個々についてはまったく考慮されていません。
中には、会社を何社も経営する社長もいれば、失業保険を受け取っている最中の方もいらっしゃいますが、どちらも死亡慰謝料の基準に大きな差は出ません。
これは果たして公平なのかという問題も出てきます。
しかし、社会的身分までを決定要因に含めるとなると、等しく与えられた命に対する軽蔑のようにも捉えられます。
そういった意味では、身分関係の分類のみで相場付けているのは正しいのかもしれません。
命は誰にでも等しく1つしかないのです。
そして、勘違いしてはいけないのが、上記の基準額が命の値段ではないということ。
2000万程度が人の命と同等であるなどとは決して考えないようにしてください。
そもそも慰謝料というのは、残された方の悲しみを少しでも和らげるための方法のひとつでしかないのです。
死亡事故は当事務所にご相談ください
死亡事故は悲しい出来事です。
高齢者であること、子どもであることも関係なく悲しいものです。
残されたご家族の気持ちが癒えるのには相応の期間が必要ですし、こういった気持ちの問題を解決するのは容易ではなく、お金だけでどうにかなる問題ではありません。
それゆえ、死亡事故の解決は難しいのが現実です。
しかし、お金という面だけでみれば、当事務所ではそれほど難しい問題ではないと考えています。
各基準の慰謝料相場に則った金額での支払いを受けるというのは、弁護士が介入していればそれほど難しいことではありません。
そこで当事務所では、死亡慰謝料の相場を回収するのは当然として、気持ちの面でも支えることができたらと考えています。
なかなか気持ちの整理がつかないのは当然ですが、まずは当事務所にお話をお聞かせください。
経済面はもちろん、精神面においても全力でサポートさせていただきます。