交通事故がきっかけで高次脳機能障害や、遷延性意識障害(植物状態)になってしまった場合、加害者やその保険会社に対して損害賠償請求をすることができなくなってしまいます。
なぜなら、請求をする本人が、正しい判断をする能力を交通事故によって奪われてしまったからです。
とても悲しいことですが、たとえ本人のご家族であっても、本人の代わりに損害賠償請求することはできません。
こういった場合、本人の代わりに判断をする「成年後見人」が必要になってきます。
今回は意思疎通ができない被害者に代わる「成年後見人」について詳しく見ていきましょう。
成年後見人の役割とは?
では、この成年後見人には、そもそもどういった役割があるのでしょうか?
成年後見人の役割は、本人の意思を可能な限り掬い取り、さらには心身の状態や生活に配慮しつつ、本人の代わりに必要な法律行為を代理するというものです。
一般的なものとしては、本人の代わりに診療や介護といったサービスの利用契約を結んだり、本人の不動産や預金通帳といった財産についても管理します。
その他にも、今回のように交通事故の損害賠償請求をするなど、本人の代わりに法律的な代理行為を行うのが役割です。
そして、この成年後見人は勝手に選任されるわけではなく、家庭裁判所の許可をもらわなければなりません。
一般的には、本人のご家族の方の中で希望された方が選任されるのですが、場合によっては成年後見監督人として、弁護士といった専門家が選任されることもあります。
本人の財産などを悪用する方がいないよう、裁判所の代わりに成年後見監督人が成年後見人の職務をチェックするというわけです。
成年後見監督人は必ず選任されるわけではありませんが、ご家族の方が成年後見人になる場合は、裁判所からの指示で選任されることが多くなっています。
成年後見人選任申立は弁護士に依頼しよう
本人に判断能力がない場合、成年後見人を選任してからでなければ、保険会社側との損害賠償額の示談交渉などは一切できません。
損害賠償請求には3年という時効期間が定められていることからも、迅速な手続きが求められるため、選任申立は弁護士に依頼してしまったほうが手間も時間も節約できます。
また、弁護士であれば、申立に必要となる書類の収集や、裁判所に提出する書面の作成、その後の裁判所とのやり取りなど、すべてを任せることができます。
裁判所にてご家族の方と裁判官の面談が行われる際も、弁護士であれば同席することが可能です。
では、選任申立てには具体的にどういった書類が必要になるかというと、本人の戸籍謄本や住民票、登記されていないことの証明書(成年後見人や保佐人などがついてない証明のこと)、病院が作成する診断書に、後見人等候補者事情説明書など、多岐に及びます。
また、本人の状況を書面にまとめるだけでなく、親族関係説明図や、財産関係の資料もひとまとめにしなければなりません。
これらをすべて個人で行うのは大変なこと。
すべて弁護士に依頼してしまうのが賢明です。
弁護士なら選任申立後の手続きも任せられる
今回のメイン目的は、交通事故の損害賠償請求です。
成年後見人を選任させて終わりというわけにはいきません。
実は、弁護士であれば成年後見人選任後の手続きも任せられるメリットがあります。
少し複雑ですが、本人の成年後見人から依頼を受けた弁護士が、損害賠償請求や後遺障害等級認定といった手続きを代理で行うことになります。
特に、今回のように高次脳機能障害や遷延性意識障害といった症状が出ている場合、交通事故の後遺障害等級認定は非常に重要な意味合いがあります。
等級というのは、1つ違うだけで金額にして何百万円と差がでることもあるため、万事を尽くして手続きに臨む必要があるのです。
適正な後遺障害等級認定を得るためには、相応の準備をしなければなりません。
そして、成年後見人の選任申立選任申立から手続きを依頼していれば、保険会社との最終的な示談交渉に至るまで、すべて一貫して1人の弁護士に任せることができます。
弁護士が交通事故当初から全過程をより詳しく把握できているということは、手続きを有利に進める1つの材料となってくれます。
成年後見人でお悩みなら当事務所にご相談を
当事務所は、交通事故分野にとても力を入れている法律事務所です。
他事務所と比べると、交通事故に関連する知識が非常に豊富だと自負しています。
ぜひ一度ご相談ください。
また、当事務所は、入院中の本人の状況を確認するために、出張対応も行っています。
こうした細かな融通が利くのも、当事務所に依頼する利点の1つです。
その他にも、私自身が弁護士と医師の交流会などにも積極的に出席していますので、医学面の知識を補填するだけでなく、弁護士以外の専門的目線からの意見を求め、より客観的に事件を分析することも可能です。
成年後見人の選任や、高次脳機能障害といった重度な症状でお悩みの方は、まずは当事務所にご相談ください。
相談も初回は60分まで無料としていますので、お気軽にご利用いただけます。